コーヒーと肝臓の関係性について、コーヒーを飲む人の方が、肝機能検査の数値結果が良く、コーヒーが肝臓負担を軽減するという、国立研究開発法人栄養研究所・所長の小野純典氏の研究について紹介致します。
コーヒーは肝臓負担を軽減する飲み物|気になる人ほど飲むべき
小野氏によれば、1990年代、防衛医科大学に在籍当時、男性の自衛官を対象に、肝機能の量研究を行ったとのこと。
その結果、コーヒーを飲んでる人の方が、肝機能の数値が良かったことに気づいたのだといいます。
その後、研究を続ける中で、アメリカの研究者による「コーヒーを飲む量が多いほど、アルコール摂取による肝硬変の危険性が下がる」という発表がなされて、強く刺激を受けたそうです。
このアメリカの研究者による追跡調査は、22年間実施され、2006年には「毎日4杯以上のコーヒーを飲む人は、まったく飲まない人と比べると、アルコール性肝硬変のリスクが5分の1になる」と発表されています。
小野氏の研究では、男性自衛官2500人について分析がなされ、毎日コーヒーを飲む人の方が、γ-GTPの数値が低いことが分かったようです。アルコールによる肝機能の悪化をコーヒが抑えた」ということです。
小野氏の研究は、その後九州大学に移ってからも福岡市民男女を対象に続けられたようです。
自衛官を対象に得られた研究結果と同様の研究結果が得られ、飲酒量が多い人ほど、コーヒーの効果が高くなることが分かったようです。
また、これらの肝臓機能を改善するのは、コーヒーに含まれるクロロゲン酸であるとしています。クロロゲン酸の抗酸化作用が、肝臓にいい影響を与えているとしています。
コーヒーは、ホットでも、アイスでも良く、ベストはブラックコーヒーです。目安は、1日に3〜5杯ですが、1杯からでも良いといいます。
また、夕方以降のコーヒーは、個人差がありますが、カフェインの覚醒作用によって、眠れなくなる可能性があります。夕方以降は、カフェインレスコーヒーがおすすめです。
カフェインは肝臓で代謝される
コーヒーが肝臓等に悪い影響を与えると思い込まれてきたのは、カフェインを含んでいるからでしょう。
「カフェインの大量摂取で中毒死した」等と報道がされたことがあり、イメージが強く残っているのではないかと思われます。
実際には、カフェインは肝臓で代謝されますので、体内に蓄積されるようなことはありません。健康な成人の場合、4時間ほどで体外に排出されることが分かっています。諸外国では。1日のカフェイン摂取量は400mgとされ、これは、コーヒーカップ6杯分ほどです。妊娠中のカフェインは控えめにと言われるのは、妊婦の肝臓の代謝速度が低下するためです。
ただ、問題なのは、一時的な大量摂取なのです。
実際には、カフェインの過剰摂取で問題になっているアメリカにおいては、その原因はカフェインを含むサプリメントやエナジードリンク飲料が問題とされているのです。高校生のカフェイン大量摂取による死亡事故もエナジードリンクを一気に飲みすぎたものと報じられました。事実、エナジードリンクの中には、コーヒーの数倍のカフェインを含んでいるものが販売されています。
1980年以降の国内外のコーヒーと肝臓との関係性における研究では、前述通り、肝臓癌等のリスクが低下する、負担が軽減するなどの研究結果しかないのです。
考えられるとするならば、トロント大学のエルソヘミー博士による「コーヒーを飲むことによるカフェインの分解能力は、DNAによって、個人差がある」という研究報告があります。
カフェインの分解能力が早いDNAをもつ人にとって、コーヒーを飲むことで心筋梗塞のリスクが減少するが、カフェインの分解能力が遅いDNAを持つ人にとっては、心臓に負担がかかる可能性があるとするものです。
肝臓の代謝能力は、DNAによって違いがあるとするもので、現在も研究が継続されています。
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