日本人にはカフェインは効かない。そんな噂があります。
しかし、寝る前にコーヒーを飲んだら眠れなくなるよ、なんてことも、よく言われます。
実際にコーヒー飲んだくらいで眠れなくなった、なんて、日本人では、そんな話は聞きません。
日本人には、もしかするとカフェインが効かないのかもしれません。
ただ、欧米では、コーヒーで眠れなくなる人は多いようです。
日本人はカフェインに強い?日本人にはカフェインは効かない?という説があります。
今回は、本当に日本人にはカフェインが効かないのか、その真偽について調べてみました。
カフェインが効かない日本人!効かないのは遺伝なのか
日本人にカフェインが効かないかと言えば、もちろん日本人にもカフェインは効きます。
しかし、それは程度の問題であります。
カフェインは体重や個々の耐性によって、日本人でなくとも、適正量が変わってきます。
日本人でも、適正量を超えて飲み過ぎれば、さすがにカフェインも毒となります。
今回の問題は、個人ではなく、国という民族単位で比較した時、日本人は他国の人と比べて、カフェインが効くのかどうかです。(個人ベースでは日本人でもカフェインの影響を受けやすい人は実際にいます)
カフェインが効かないのはなぜ
東洋ではお茶の文化があります。お茶に含まれるカフェインを昔から、そして幼少の日常から摂取しています。東洋人は、カフェインの耐性が欧米人に比べて強いという説があります。
ここでいわれている東洋とは、東アジア諸国のことです。日本の他に、韓国・中国・北朝鮮・台湾などです。
お茶に含まれるカフェインはコーヒーよりは少ないものの、飲む量が多ければ当然摂取量は増えます。
お茶の起源は中国|紀元前
お茶の起源には諸説がありますが、紀元前から中国で飲まれ始めていたことが分かっています。
日本には805年に伝わったとされています。平安時代初期です。
日本ではすぐにお茶の栽培が始まり、貴族や武士の間にお茶を飲む文化が広がったようです。
欧米には、1596年にオランダに日本人は食後のお茶を飲む習慣が「ヤパンの飲み物」として紹介されました。そのためヨーロッパに最初に伝わったお茶は日本茶だったとされています。その後にオランダは中国茶も輸入するようになりました。
1650年代になると、コーヒーがイギリスに持ち込まれ広がっていきます。
日本人にはカフェインの耐性
お茶といえば千利休が有名ですが、それより遙か数百年昔の平安時代から、日本人のお茶の文化が始まっています。
日本にコーヒーが入ってきたのは、江戸時代に薬として伝わったのが最初です。しかしそれよりも遙か昔からお茶のカフェインに触れていたのです。日本人にカフェインの耐性ができてきたとしても、おかしくはないかもしれません。
日本人は欧米人に比べて牛乳を分解する能力がなく、牛乳を飲むと日本人はお腹を壊しやすいというのと似ています。それは、戦後入ってきた欧米の食文化が、それまでの日本にはなかったため、発覚した事例です。
日本人は、欧米人のようには、カフェインが効かないというのは本当だと考えられます。欧米では午後3時以降にコーヒーを飲まないとする考え方があります。
ニュージーランドのカフェは午後3時には閉店するといいます。また食後のコーヒーは、夕食時には飲まないといいます。
しかし日本人の中には、食後のお茶はマナーだと考える人もいます。文化の違いや歴史の違いによる体質の違いがあるのでしょう。
つまり日本人には、欧米人が感じるようなカフェインの覚醒効果や眠気覚ましの効果は、あまりないということになります。ただし、個人差があります。
日本人でも、夕方以降にコーヒーを飲むと夜眠れないという人もいます。気持ち悪くなったり、不安感を覚えやすいということも確認されています。
日本人やアジア人にはカフェインは効かないのは遺伝なのか
筑波大学の中村貴子氏の学術報告があります。カフェインに感受性のある遺伝子の割合を、世界地域別で調べた結果です。
日本人を含む、ミャンマーやモンゴルといったアジアの国々では、カフェインに関する遺伝子の割合が少ないということです。一方、南米やアフリカ、アメリカの白人では、カフェインに関する遺伝子が多かったのです。
ちなみに、中国はアジアの中では、少しカフェインに関する遺伝子が多めでした。
このカフェインに関する遺伝子を持ってる割合が多いとは、コーヒーの摂取量が多いことが分かっています。なぜ、摂取量が多いかというとカフェインの覚醒効果がよく出るからです。つまり、彼らにはカフェインを摂取すると気持ちよくなる効果があります。
カフェインの効果には、遺伝的な要素が関与している可能性があります。遺伝子によって、カフェインを分解する酵素であるシトクロムP4501A2(CYP1A2)の活性が異なる場合、カフェインの代謝速度が変化することが知られています。
CYP1A2遺伝子の変異によって、カフェインの代謝速度が速くなる場合、カフェインの効果が早く消えてしまい、効果を感じにくくなることがあります。一方、代謝速度が遅くなる場合、カフェインの効果がより長く持続し、強く感じられる可能性があります。
ただし、遺伝的な要素はカフェインの効果に対する影響の一部であり、他の要素(習慣、薬物の相互作用、生理的特徴など)も関与していることを強調する必要があります。遺伝的な要素だけでなく、個人の環境や生活習慣もカフェインの効果に影響を与える可能性があります。
カフェインが効かない人
カフェインの効果は個人によって異なりますが、一部の人々はカフェインがほとんど効かないと感じることがあります。カフェインが効かない人ということです。以下に、カフェインが効かない可能性のあるいくつかの要因を挙げます。
1)遺伝的要因
カフェインの代謝は、遺伝的な要素によって影響を受けます。特定の遺伝子変異が存在する場合、カフェインを速やかに分解してしまうことがあります。これにより、カフェインの効果が短期間で感じられず、効果が持続しない場合があります。
2)長期的な摂取習慣
カフェインを日常的に摂取していると、身体が徐々にその効果に対して耐性を持つことがあります。これは、カフェインを摂取することで身体の中でアデノシン受容体がブロックされるため、アデノシンが蓄積されるという生理的な反応によるものです。その結果、カフェインの刺激が軽減され、効果を感じにくくなることがあります。
3)他の薬物の影響
カフェインの効果は、他の薬物との相互作用によっても変化する可能性があります。特定の薬物(例: 抗うつ薬や抗不安薬)は、カフェインの効果を軽減させることが知られています。
4)個人の生理的特徴
個人の身体的特徴や代謝率によっても、カフェインの効果が異なることがあります。例えば、肝臓での代謝能力や排泄速度が速い場合、カフェインの効果が短期間で消えてしまうかもしれません。
カフェインが効かない体質の人もいる
カフェインが効かないと感じる体質の人々も存在します。個人の生理的な特徴や代謝率、脳の受容体の感受性などが、カフェインの効果に影響を与える可能性があります。
カフェインは中枢神経系に作用して覚醒を促す作用がありますが、一部の人々ではその作用が薄く、カフェインを摂取しても明確な効果を感じないことがあります。これは個人差によるものであり、遺伝的な要素や他の身体的な特徴に関連している可能性があります。
また、カフェインの効果に対する個人の感受性は、カフェインの摂取状況や他の要素とも関連しています。例えば、カフェインを日常的に摂取している人は、その効果に対して耐性を持つ傾向があります。また、ストレスのレベルや睡眠の質などもカフェインの効果に影響を与える要素となります。
したがって、一部の人々はカフェインを摂取しても効果を感じにくいか、ほとんど感じない場合があります。ただし、個人差があるため、全ての人が同じようにカフェインに反応するわけではありません。
カフェインが効かない眠いという人は
カフェインが効かない、眠いという人は下記の可能性もあります。
一つ目の原因と考えられるのは、睡眠不足です。カフェインは一時的に覚醒作用があったとしても、睡眠不足の場合は補うことはできません。当然解決策は十分な睡眠を取ることになります。
またカフェインの摂取量に対する個人差があります。カフェインの効果には明らかに個人差があります。摂取量が少ない場合、覚醒効果が弱いかもしれません。また摂取量が過剰に多い場合には、神経過敏となり眠気を感じることもあります。
もう一つ考えられることは、これまでに多くのカフェインを長期にわたって摂取している場合です。カフェインに対して耐性が出てきる可能性があります。当然カフェインの効果は薄らいでしまいます。
カフェインの覚醒効果を得たいならタイミングを考える
カフェインの効果の一つには、眠気覚ましにコーヒーを飲むというように、覚醒効果があります。ところが、コーヒーを飲むタイミングによっては、十分な覚醒効果が得られないのです。
例えば、朝一杯のコーヒーを飲む人がいます。この時間が朝起きてすぐの時間帯の場合、コルチゾールというホルモンの分泌を抑えてしまいます。
コルチゾールとは、人が朝目覚める1〜2時間前から分泌されるホルモンです。コルチゾールが分泌されることで、血糖値や血圧が上がり人は10時頃には覚醒した状態になるのです。会社の会議がこの時間帯に行われるのは実は理にかなっているのです。
ところが例えば朝起きてすぐに目覚めの一杯のつもりでコーヒーを飲むと、カフェインはコルチゾールの分泌を抑制してしまいます。
ですので朝コーヒーを飲むのなら、10時以降であれば、コルチゾールによって覚醒した状態を引き続いて維持できるのです。
まとめ
日本人にカフェインが効かないは噂通り本当である可能性が高いと言えます。
遺伝子的に見れば、アジア圏以外の人達にはカフェインは効果があり、気分を良くしてくれる効果があります。
そのためコーヒーの消費量が多いというデータに繋がると、考えられています。しかし、日本人やアジア圏では効果がないのに加えて、カフェインで気持ち悪くなるという事も分かってしまいました。
なので、夜コーヒーを飲んで寝れなくなるという心配は、しなくていいでしょう。もちろん、人によります。個人差は大きいです。カフェイン耐性が強い人は、眠気覚ましのコーヒーはあまり期待出来そうにありません。
ただし個人レベルでは、午後3時以降にコーヒーを飲んで読む眠れない人がいるのもまた事実です。
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